針のような歯を持つジュラ紀のワニのなかま モロッコの化石が示した小さな食卓
Ctenosuchus tenuidens(クテノスクス・テヌイデンス)
モロッコの化石から名づけられた、新しいワニのなかま。
タラトスクス類(タラトスクスるい)
海や淡水で暮らした、絶滅したワニに近い爬虫類のグループ。
収斂進化(しゅうれんしんか)
別々の動物が、似た環境に合わせて似た特徴を持つこと。
何が見つかったか
約1億7000万年前、現在のモロッコ南東部に、現代のワニとは別系統のワニのなかまがいました。英国のポーツマス大学とモロッコのハッサン2世大学の研究チームは、その化石を新属新種 Ctenosuchus tenuidens として報告しました。化石は、古い川や湖の環境でできた中期ジュラ紀の地層から見つかりました。
この動物は、海や淡水に進出した絶滅爬虫類のグループ、タラトスクス類に属します。確認された標本は2つで、鼻先、下あご、歯、体の骨の一部が残っていました。研究のきっかけは、標本の長い骨の両側にあった黒い丸です。顕微鏡で見て、周囲を少しずつ削ると、黒い丸は非常に細い歯だと分かりました。研究紹介
歯が示す食べ物
この歯は近縁種のものと大きく違います。幅と高さの比は約1対10.4で、歯と歯の間は約2.3ミリ。長く、針のようで、内側の表面には細い縦の筋が密に並んでいました。普通のテレオサウロイドには、もっと太く丈夫な歯や、かたいえものを砕く歯があります。それに対し、Ctenosuchus tenuidens の歯は、大きくて暴れるえものをくわえると折れやすそうです。
そこで研究チームは、小さな魚、小さな甲殻類、やわらかい体の水生動物を食べた可能性を示しました。歯の筋は、やわらかいえものをつかんだり、刺したりするのに役立ったかもしれません。ただし、これは歯の形からの推定です。胃の内容物が残っていたわけではありません。
背景にあるジュラ紀の多様さ
ジュラ紀のワニのなかまは、みな同じ食べ方をしていたわけではありません。長い鼻先を持つ種類でも、魚などを刺すもの、かたいえものを砕くものなど、歯の形には幅がありました。今回の化石は、淡水にいたテレオサウロイドの食べ方が、これまで考えられていたより多様だったことを示します。
研究論文は、似た歯の形が、ペルム紀のメソサウルス類や、後のジュラ紀にいたクテノカスマ類の翼竜にも見られると比べました。祖先が近くない動物で似た特徴が別々に生じる現象は、収斂進化と呼ばれます。似た形が見つかったことは、同じ食べ方を完全に証明するものではありません。しかし、水中の小さなえものを扱うという課題に、別々の動物が似た形で対応した可能性を示します。
何が確認できたか
化石の形、歯の表面、歯の断面、ほかの化石との比較、系統解析を組み合わせ、研究チームはこの動物をテレオサウルス科に置きました。論文では、Ctenosuchus tenuidens はゴンドワナに知られる唯一の淡水性テレオサウロイドで、ジュラ紀のモロッコで確認された2番目のテレオサウルス類と説明されています。アフリカを含むゴンドワナの化石記録に、別の生態を持つ一員が加わったことになります。
まだ分からないこと
一方、頭骨全体は残っていません。そのため、歯を並べて水をこすように食べたのか、口で小さなえものをつかんだのか、細かな動きまでは決められません。実際の食べ物の種類や、近縁種との正確な関係にも、追加の標本が必要です。
次に見る点
これから特に重要なのは、頭骨や歯列がさらにそろった化石です。モロッコの同じ時代の地層を調べ、似た歯を持つ別の動物と比べれば、この細い歯がどんな暮らしに結びついていたのかを、より厳しく確かめられます。今回の発見は、巨大な獲物を追うワニだけでなく、小さな水の生き物を選んだワニのなかまも、ジュラ紀の水辺にいたことを示す一歩です。
細い歯の古代ワニ 小さな水の生き物を食べた?
📰 しっかり版: 針のような歯を持つジュラ紀のワニのなかま モロッコの化石が示した小さな食卓
モロッコで、針のように細い歯を持つワニのなかまが見つかりました。
Ctenosuchus tenuidens(クテノスクス・テヌイデンス)
今回見つかった、新しいワニのなかまの名前。
甲殻類(こうかくるい)
えびやカニのなかま。
収斂進化(しゅうれんしんか)
別々の動物が、似た形を身につけること。
💡 ようするに
- モロッコで新しいワニのなかまが見つかりました。
- 歯は細く、歯どうしが近くに並んでいました。
- 小魚や小さな水の生き物を食べたようです。
化石は、約1億7000万年前の地層から出ました。そのころのモロッコには、川や湖がありました。
研究者は、この動物を Ctenosuchus tenuidens と名づけました。現代のワニではありません。絶滅したワニのなかまです。
化石の長い骨のそばには、黒い丸がありました。顕微鏡で調べると、黒い丸は歯でした。歯は長く、とても細い形でした。歯と歯の間は約2.3ミリです。
大きな魚が暴れると、細い歯は折れやすそうです。そこで研究者は、小魚や小さな甲殻類を食べたと考えました。甲殻類は、えびやカニのなかまです。やわらかい体の水の生き物も、食べたかもしれません。
ただし、これは歯から考えた予想です。食べ物が化石として残っていたわけではありません。頭の骨も、全部は見つかっていません。
研究者は、似た歯が別の古い水生動物にもあると比べました。別々の動物が、似た形を身につけることがあります。これは収斂進化と呼ばれます。
これから頭の骨や歯の列がもっと見つかれば、食べ方をさらに調べられます。小さなえものを選ぶワニのなかまも、ジュラ紀の水辺にいたのです。
資料: 原論文
針みたいな歯の、むかしのワニのなかま
📰 しっかり版: 針のような歯を持つジュラ紀のワニのなかま モロッコの化石が示した小さな食卓
モロッコの化石から、新しいワニのなかまが見つかりました。
Ctenosuchus tenuidens(クテノスクス・テヌイデンス)
見つかったワニのなかまの名前。
化石(かせき)
むかしの生き物の体が石のように残ったもの。
ジュラ紀(ジュラき)
恐竜がいた、とてもむかしの時代。
ちいさなえものを食べたの?
むかし、モロッコにワニのなかまがいました。
いまから約1億7000万年前です。
その名前は Ctenosuchus tenuidens です。
見つかったワニのなかまの名前です。
歯は、とても細くて長いです。
歯と歯の間は約2.3ミリでした。
大きな魚をかむ歯ではなさそうです。
小さな魚やエビを食べたようです。
やわらかい水の生き物も食べたかもしれません。
でも、これはまだ予想です。
頭の骨が全部は残っていないからです。
化石は、むかしの生き物の体が石のように残ったものです。
もっと化石が見つかれば、食べ物が分かるかもしれません。
ジュラ紀の水辺には、いろいろなワニのなかまがいました。