米国の働く時間の9割がAIテストの外にある Mercorの地図が問う「AIの点数」
ベンチマーク(べんちまーく)
AIの力を同じ条件で比べるテスト。
O*NET(オーネット)
米国の仕事を職種と作業に分けた分類表。
LLM(エルエルエム)
文章や作業を扱うAI。
何が起きたか
Mercor(この調査を公開した企業)は、AIの性能を同じ条件で比べるテスト、ベンチマークが、米国の仕事をどれだけ調べているかを地図にしました。結論は大きく、米国の働く時間の約90%が、既存のベンチマークでほとんど、またはまったく十分に調べられていない作業に費やされていると推計しています。ここでいう「調べられていない」は、AIがその仕事をできないという意味ではありません。測るための問題が少ない、という意味です。
元記事はHacker Newsで94ポイント、66コメントを集めました。ただし、この数字はコミュニティの注目度です。調査の正しさを証明する数字ではありません。
どうやって地図を作ったか
Mercorは、米国労働省のONETを使いました。ONETには、923種類の職業と、職業を形づくる18,797個の作業が整理されています。それらは22の仕事の大きな分類に分かれます。
次に、経済的な仕事に近く、まだAIが簡単に満点を取れない29個のベンチマークを選びました。LLMの判定役に、各問題がどの作業に対応するかを対応づけさせ、同じ作業に少なくとも5問がつながった場合を「カバーされた」と数えます。さらに、各作業に人がどれくらい時間を使うかの推計を組み合わせ、働く時間全体への広がりを計算しました。
なぜ重要か
AIの点数は、出題された作業への点数です。たとえばソフトウェア開発の問題を多く解けても、対面の調整、現場の判断、細かな手作業まで同じようにできるとは限りません。何を測ったかを見ないまま、点数だけをAIの「仕事力」と読むと、測っていない部分を見落とします。
地図には偏りもありました。AIによる自動化に向きそうだと分類された作業は、そうでない作業より約6倍もベンチマークに入りやすい結果でした。職業全体の給与総額が大きい仕事も、ベンチマークに多く登場します。さらに、同じ職業の中では重要度の高い作業が、低い作業より約6〜10倍入りやすいとされました。つまり、AI研究が注目する仕事や、測りやすい仕事に、テストが厚く集まっています。
確認できたこと
Mercorの集計では、923職業のうち、少なくとも1つの作業に5問以上のベンチマーク問題がある職業は208だけでした。22の仕事分類のうち、6分類には、その条件を満たす職業がありません。
具体例として、AIへの露出が高い弁護士の作業は比較的よく調べられていました。一方、同じ法律分野でも、法務秘書や裁判所書記官の作業はほとんどカバーされていません。これは、職業名だけでなく、その中の細かな作業まで見なければならないことを示します。
まだ分からないこと
この調査は、仕事の90%をAIができない、あるいは90%の職業がAIに安全だと示したものではありません。対象は最初に選んだ29個のベンチマークで、全世界のテストを集めた一覧ではありません。仕事分類ごとの数にも上限を設けています。
また、「現実の仕事らしさ」の判断には主観が入り、職業ごとの問題数も少ないため、少数の質の悪い問題が結果を動かす可能性があります。人がAIを使って仕事を助ける場合と、AIが仕事を最初から最後まで自動で行う場合も、同じ方法では測れません。身体を使う仕事を測りにくい点も残ります。
次に見る点
Mercorは、ベンチマークを増やしながら地図を更新する考えを示しています。今後は、ソフトウェアや金融のような測りやすい仕事だけでなく、現場作業、対人調整、人とAIが一緒に進める仕事も、実際の流れに近い形で測れるかが焦点になります。
この調査の要点は、AIの点数が無意味だということではありません。点数は、地図に載った場所の情報です。地図にない仕事まで分かったつもりにならないことが、次の課題です。
AIのテストが見ていない仕事が9割 数字の読み方をやさしく解説
📰 しっかり版: 米国の働く時間の9割がAIテストの外にある Mercorの地図が問う「AIの点数」
AIのテストは、米国の仕事の全部をまだ調べられていません。
Mercor(マーコー)
この調査を発表した企業。
ベンチマーク(べんちまーく)
AIの得意さを比べるテスト。
O*NET(オーネット)
米国の仕事を職種と作業に分けた表。
💡 ようするに
- AIのテストは、仕事の全部を見ていません。
- 米国の働く時間の約90%は、テストが少ない作業でした。
- これは、AIがその仕事をできないという意味ではありません。
Mercor(この調査を発表した企業)は、AIのテストを調べました。 このテストをベンチマークと呼びます。 AIが、どんな仕事をできるか比べるための問題です。
Mercorは、O*NETという仕事の表を使いました。 そこには、923種類の仕事があります。 仕事の中の作業は、合計18,797個です。 それらは、22の大きな仕事の仲間に分かれています。
調査では、29個のベンチマークを集めました。 そして、問題がどの作業に近いかを調べました。 同じ作業に5問以上あれば、テストがあると数えました。 その結果、条件を満たした仕事は208種類でした。 22の仲間のうち、6つには該当する仕事がありませんでした。
この結果が大事なのは、AIの点数に範囲があるからです。 コードを書く問題だけなら、コードの点数は測れます。 でも、人と話す仕事や現場の作業は別です。 テストに入っていなければ、点数には表れません。
この話はHacker Newsでも話題になりました。 94ポイントと66件のコメントがありました。 これは注目度を示す数字です。 調査が正しい証明ではありません。
Mercorは、AIに向きそうな作業ほど、テストに入りやすいと報告しました。 重要な作業や、経済的に大きな仕事も多く調べられていました。 そのため、今のAIの順位表は、仕事全体の成績表ではありません。
ただし、90%という数字にも注意が必要です。 これは、90%の仕事をAIができないという意味ではありません。 今のテストでは、十分に調べられていないという意味です。 これからは、もっと多くの仕事を調べる問題が必要です。
💬 AIのテストに出ない仕事をどう考えるか
記事は、米国の働く時間の90%が今のAIテストで十分に測れないと見積もる。コメントでは、仕事はコードを書くことだけでなく、人との調整やシステムをつなぐことまで含む、という話になった。
- ある投稿者は、すぐに正解・不正解が返るフィードバックループのない仕事はAIに学ばせにくく、急な大量失業はまだ見えないと述べた。生産性の伸びを年2%ほどと見るのは、その人の見立てであり、実測ではない。
- ソフトウェア開発者の自己申告では、仕事の50%が社内政治、30%がステークホルダーと期待の調整、10%が設計・開発だった。別の投稿者は、AIがコードを速くしても、検証の関門で統合が詰まる職場を見ていると報告した。
- 記事のベンチマークは高い賃金総額の職種に偏っていると読む人がいた。コードや数学はコンパイラや定理証明器で答えを確かめやすいのでAIの訓練に向く一方、手作業は別の難しさがある、という説明だ。
- 企業が利益の大きい仕事から自動化し、競争で安くできれば社会に良いという期待がある。一方、住宅・医療・食料は高いままで、利益が資産を持つ人に集まるのではという反論もある。どちらもコメントの意見である。
- AIで仕事が速くなることを再帰的自己改善(RSI)と呼ぶかも議論された。厳しい定義では、人間なしでAIが自分を改良し続ける閉ループが必要だという反論がある。
コメント66件時点の初期(改訂1)。100件を取得し、全体から100件を抽出して要約しました。内容はHN利用者の自己申告で、編集部が確認した事実ではありません。
AIのテストに、まだない仕事がたくさんある
📰 しっかり版: 米国の働く時間の9割がAIテストの外にある Mercorの地図が問う「AIの点数」
AIは、仕事のテストをまだ全部持っていません。
Mercor(マーコー)
仕事の地図を作った会社。
Hacker News(ハッカー・ニュース)
技術の話が集まるサイト。
Mercorという会社が、仕事の地図を作りました。 AIのテストは、コンピューターに小さな仕事をさせるものです。 でも、たくさんの仕事には、まだ良いテストがありません。 だから、AIの点数が高くても、仕事全部が得意とは限りません。
地図は、米国の923種類の仕事を見ました。 その中には、18,797個の小さな作業がありました。 208種類の仕事だけが、1つの作業に5問以上ありました。 22の仕事の仲間のうち、6つはその条件に届きませんでした。
Mercorは、米国の働く時間の90%で、テストが少ないと言いました。 これは、その仕事ができない、という意味ではありません。 まだ、うまく試していないだけかもしれません。
この話はHacker Newsで話題です。 94ポイントと66コメントがありました。 これは人気の数です。 調査の正しさの数ではありません。
これからは、いろいろな仕事のテストが必要です。
💬 AIがまだ測れない仕事の話
記事は、アメリカで働く時間の90%は今のAIテストでよく測れないと見積もる。コメントは、これはAIの弱さだけでなく、仕事が人や機械の調整でできているからかもしれない、と話している。
- 多くの仕事には、すぐに正解を教える仕組みがない。だから、AIが急に全部の仕事を取るとはまだ言えない、と考える人がいた。その人は生産性が年2%ほど伸びると見たが、これは自己申告の見立て。
- ある開発者の自己申告では、時間の50%は会社の人どうしのもめごと、30%はみんなの希望をそろえること、10%は設計と開発だった。AIがコードを書いても、人は他のシステムにつなぎ、みんなで確かめる必要がある。
- コードと数学は、答えを機械で確かめやすい。だからAIは先に学びやすい、という考えがある。体を使う仕事は別の難しさがある。記事のテストが高い給料の仕事に寄っている、という心配もあった。
- AIでお金が節約できても、そのよいことがみんなに届くかは分からない。家、病院、食べ物は高いままだという人もいる。AIが自分で自分を強くする本当のRSIかどうかも、まだ意見が違う。
コメント66件時点の初期(改訂1)。100件を取得し、全体から100件を抽出して要約しました。内容はHN利用者の自己申告で、編集部が確認した事実ではありません。
💬 AIベンチマークの空白は、AIが仕事をできないことを意味するのか
元記事は、米国の労働時間の90%が既存のAIベンチマークで十分にカバーされていないと推計する。HNでは、その空白はAIの能力不足だけでなく、調整・システム統合・曖昧な評価を含む仕事の性質と、利益の分配を映しているのではないかと議論された。
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