嚢胞性線維症の「最後の1割」に、まだ大きな突破口がない
嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)
肺などに粘り気のある粘液がたまりやすい遺伝性の病気。
CFTR(シーエフティーアール)
体の中の塩分と水分を整えるたんぱく質。
耐容性(たいようせい)
治療を体がどれくらい受け入れられるか。
何が起きているか
嚢胞性線維症(CF)は、肺などに粘り気のある粘液がたまりやすい遺伝性の病気です。米国では約4万人が暮らしています。新しい薬によって、患者の約9割は病気を抑えられるようになりました。
一方、残る約1割には、その薬が効きません。Vertex Pharmaceuticals(薬を作る会社)のTrikaftaと、より新しいAlyftrekは、CFTRというたんぱく質の働きを助けます。しかし、CFTRを十分に作れない人には、この仕組みが使えません。
研究が難しい背景
この「最後の1割」を助けようと、患者のEmily Kramer-Golinkoffが2011年にEmily’s Entourage(研究を支援する団体)を始めました。団体はこれまでに2200万ドル以上を集め、51件の研究を支えています。
ただし、治療を肺の細胞まで届けること自体が難題です。肺は外から入るものを防ぐ器官で、嚢胞性線維症の肺には厚い粘液もあります。薬を作るだけでは、必要な場所に届くとは限りません。
なぜ重要か
「9割に薬が効く」という成功は大きな進歩です。しかし、それが病気全体の解決を意味するわけではありません。残る患者は、今も感染や呼吸の問題と向き合っています。進歩があったからこそ、研究資金や世間の関心が残りの患者から離れる危険もあります。
さらに、嚢胞性線維症を起こす遺伝子の変化は約2000種類あります。患者ごとに違う変化が多ければ、全員に同じ薬を使う開発は難しくなります。
確認できたこと
研究には、遺伝子治療、さまざまな分子を使う薬、感染を抑える方法などがあります。Spirovant Sciences(遺伝子治療を開発する会社)の治療は、遺伝子の変化に関係なく働く可能性があり、初期段階の治験に入っています。
また、Emily’s Entourageは、薬に強い細菌を抑える抗菌薬や、細菌を壊す自然のウイルスであるファージにも資金を出しています。これは病気を治す決定打というより、患者が治療を待つ時間をつくる方法です。
まだ分からないこと
5月にはVertexとModerna(薬や生物技術の会社)が、メッセンジャーRNAを使う治験を耐容性の問題で中止しました。2月にはBoehringer Ingelheim(製薬会社)も遺伝子治療の治験を終えています。これらは、特定の方法に壁があったことを示しますが、次の方法まで失敗すると決まったわけではありません。
初期段階の治療が本当に安全で、肺の細胞に届き、病気を軽くできるかは、まだ確認されていません。
次に見る点
今後は、初期治験での安全性、薬が肺に届くか、体内で働く証拠が出るかが重要です。患者ごとに薬を作る仕組みを、研究から実際の治療へ進められるかも焦点になります。
9割に届いた成功を、全員が治ったという意味にしないこと。残る1割の存在を見えなくしないこと。それが、次の研究を続けるための出発点です。
出典: CNBCの記事
9割に効く薬があっても、残る1割はまだ待っている
📰 しっかり版: 嚢胞性線維症の「最後の1割」に、まだ大きな突破口がない
嚢胞性線維症では薬が効く人が増えましたが、まだ新しい治療を待つ人がいます。
嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)
肺に粘り気のある粘液がたまりやすい病気。
CFTR(シーエフティーアール)
体の中の塩分と水分を整えるたんぱく質。
治験(ちけん)
新しい薬や治療を人に試す研究。
💡 ようするに
- 多くの患者には、今の薬が役立っています。
- でも、約1割の患者には薬が効きません。
- 研究者は、別の治療を急いで探しています。
嚢胞性線維症(CF)は、肺に粘り気のある粘液がたまりやすい病気です。粘液が増えると、息をすることが難しくなります。米国では約4万人がこの病気と暮らしています。
Vertex Pharmaceuticals(薬を作る会社)のTrikaftaとAlyftrekは、多くの患者を助けました。これらの薬は、CFTRというたんぱく質の働きを助けます。CFTRは、体の中の塩分と水分を整えます。
しかし、残る約1割の患者は、CFTRを十分に作れません。そのため、今の薬を使っても、同じような効果が出ません。薬が効く人が増えたことと、全員が治ったことは別です。
Emily Kramer-Golinkoffは、2011年にEmily’s Entourageという研究支援団体を作りました。団体は2200万ドル以上を集め、51件の研究を支えています。
研究者は、遺伝子治療や別の薬を試しています。Spirovant Sciencesの治療は、遺伝子の違いに関係なく働く可能性があります。ただし、まだ初期の治験です。
治療を肺まで運ぶことも難しい問題です。肺の粘液が、薬の移動をじゃまするからです。5月にはメッセンジャーRNAを使う治験が中止されました。2月には別の遺伝子治療も終わりました。
これからは、安全性と効果を確かめる必要があります。薬が肺の細胞に届くかも大切です。残る患者にも治療が届くかを、研究の進み方とともに見ていきます。
まだ効く薬を待っている人がいます
📰 しっかり版: 嚢胞性線維症の「最後の1割」に、まだ大きな突破口がない
新しい薬は多くの人を助けました。でも、まだ助けが必要な人もいます。
嚢胞性線維症(のうほうせいせんいしょう)
肺にねばねばしたものがたまりやすい病気。
Vertex Pharmaceuticals(バーテックス・ファーマシューティカルズ)
TrikaftaやAlyftrekを作る薬の会社。
嚢胞性線維症は、肺にねばねばしたものがたまる病気です。
そのため、息をするのが大変になります。
Vertex Pharmaceuticals(薬を作る会社)には、TrikaftaとAlyftrekという薬があります。
この薬は、多くの人を助けます。
でも、約1割の人には、まだ効きません。
Emily Kramer-Golinkoff(この病気と暮らす人)は、Emily’s Entourage(研究を助ける団体)を作りました。
団体は、科学者がお薬を探す手伝いをしています。
いくつかの研究は、途中で止まりました。
別の遺伝子治療は、まだ試されています。
それが安全で効くかは、まだ分かりません。
だから、残る人たちにも、働く薬が必要です。