毛のない犬は何を食べた? ペルーの墓地から見えた1200年前の暮らし
ワリ帝国(わりていこく)
アンデス地域で栄えた古代国家。
同位体分析(どういたいぶんせき)
骨や歯の化学的な違いから食事などを推定する方法。
放射性炭素年代測定(ほうしゃせいたんそねんだいそくてい)
炭素の変化を使って、遺物の年代を推定する方法。
何が起きたか
ペルー北部のカスティージョ・デ・ワルメイ遺跡で、1200年以上前の犬の遺体が調べられた。ここはワリ帝国(アンデス地域の古代国家)が行政と埋葬に使った場所だ。Dartmouth College(米国の大学)の研究チームによる研究では、犬の骨341点が少なくとも19個体分あると分かった。ほぼ完全なオスの自然ミイラも含まれ、放射性炭素年代測定で少なくとも1200年前と判定された。この遺跡で年代が測られた犬として、これまでで最も古い。
背景と、無毛犬を見分けた方法
遺跡はペルーの太平洋岸にある乾燥した地域にあり、皮膚、耳、骨、顔料が残りやすかった。頭骨の一つには、毛のない皮膚と耳が残り、赤い辰砂で彩られていた。複数の犬には、第一前臼歯など、生まれつき生えなかった歯もあった。毛の少なさを生む遺伝的な特徴が、歯の数を少なくする特徴とも結びついていたためだ。これにより、見つかった犬はペルー無毛犬(ペルーに昔からいる毛の少ない犬の系統)と判断された。
確認できたこと
研究者は、骨や歯に残る炭素・窒素・酸素・ストロンチウムの同位体を調べた。同位体分析は、食べ物や暮らした場所を推定する手がかりになる。歯は子犬の時期、骨は死ぬ前のおよそ1年の情報を残す。多くの犬はトウモロコシを食べていた。無毛犬と考えられる子犬の食事は、同じ遺跡の人間の子どもに近かった。特別な食事を与えたり、計画的に育てたりした可能性が浮かぶ。ただし、わざと与えたのか、残り物やごみを食べただけなのかは分からない。
埋葬の方法も一つではなかった。生後6〜8週ほどの子犬は、「かご編み名人」と呼ばれる身分の高い職人のそばで見つかった。宮殿の中から成犬が出た例もあり、墓を守るために犠牲にされたと考えられる男性と一緒に、子犬の一部が埋められていた例もある。一方で、犬の骨が捨てられた物の中に混じる例もあった。切られた跡は少なく、食用にするのが普通だったとは考えにくい。
なぜ重要か
この研究は、ワリ帝国のこの遺跡で、ペルー無毛犬の実物を示す初めての証拠になった。絵や土器だけでなく、食事と体の特徴、埋葬の場所を合わせて、人と犬の関係を見られるからだ。同じ社会の中でも、犬が特別に世話を受けた場合と、捨てられた場合があった可能性を示している。
まだ分からないこと
犬が愛玩動物だったのか、働く動物だったのか、儀礼に使われたのかは決められない。1970年の地震と盗掘で遺跡の上の層が混ざり、骨の一部は元の場所が確かでないためだ。食事の似方も、特別な給餌を示すのか、残り物を食べた結果なのか断定できない。
次に見る点
今後は、発掘場所が保たれた層から出た骨と、ほかの遺跡の犬を比べる必要がある。食事の違いが本当に繁殖や特別な世話を示すのかも、追加の資料で確かめることになる。今回の発見は、昔の犬を「大切なペット」か「ただの動物」かの二択で見るのではなく、同じ社会の中で扱いが分かれていた可能性を示した。
1200年前の無毛犬、食事から見えた人との暮らし
📰 しっかり版: 毛のない犬は何を食べた? ペルーの墓地から見えた1200年前の暮らし
ペルーの古い遺跡で、無毛犬の体と骨が見つかりました。食事や埋葬の違いから、昔の人と犬の関係が見えてきます。
カスティージョ・デ・ワルメイ遺跡(かすてぃーじょ・で・わるめい いせき)
ペルー北部にある昔の墓地や建物の跡。
ワリ帝国(わりていこく)
昔のアンデス地域にあった国。
遺伝子(いでんし)
体の特徴に関係する情報。
💡 ようするに
- ペルーで、1200年以上前の無毛犬が見つかった。
- 毛が少ない体質と、歯の少なさがつながっていた。
- 食事と埋葬から、人と犬の関係が見えてきた。
どこで見つかったの?
ペルー北部のカスティージョ・デ・ワルメイ遺跡で見つかった。ここはワリ帝国(昔のアンデスの国)が使った場所だ。犬の骨は341点あり、少なくとも19匹分だった。自然にミイラになったオスの犬は、1200年以上前のものだった。
毛と歯の手がかり
無毛犬は、毛が少ないだけではない。生まれつき、歯が少ない犬もいた。毛が少なくなる遺伝子が、歯の数にも関係したためだ。歯が抜けたのではなく、最初から生えなかった。だから、犬の種類を見分ける手がかりになった。
食べ物を調べる
研究者は、骨と歯に残る化学の手がかりを調べた。歯からは子犬のころの食事が分かる。骨からは、死ぬ前の約1年の食事が分かる。多くの犬は、トウモロコシを食べていた。無毛犬の子犬は、人の子どもと似た食事だった。特別なごはんをもらった可能性がある。ただし、残り物やごみだった可能性も残る。
扱いは同じではなかった
子犬が人と一緒に埋められた例があった。宮殿の中で見つかった成犬もいた。一方、捨てられた物の中の骨もあった。すべてが大切なペットだったとは言えない。地震や盗掘で土が混ざった場所もあり、元の状況が分からない骨もある。
これから分かること
犬がペットだったのか、働いていたのかは、まだ決まっていない。もっと多くの骨と、周りの土を調べる必要がある。食事の違いが、特別な世話を示すのか。子犬を増やす活動と関係するのか。これから調べる課題だ。
むかしのペルーにいた、毛のない犬
📰 しっかり版: 毛のない犬は何を食べた? ペルーの墓地から見えた1200年前の暮らし
むかしのペルーで、毛のない犬の体が見つかったよ。
ペルー無毛犬(ぺるーむもうけん)
毛が少ない犬の種類。
ワリ帝国(わりていこく)
昔のアンデスにいた人々の国。
遺伝子(いでんし)
体の特徴に関わる情報。
むかし、ペルーに毛の少ない犬がいたよ。 この犬は、ペルー無毛犬と呼ばれるよ。 ペルー無毛犬は、毛が少ない犬の種類だよ。 犬は、1200年以上前に生きていたよ。 古い人のお墓の近くで、犬の体が見つかったよ。 そのお墓は、ワリ帝国の人々が使ったよ。 ワリ帝国は、昔のアンデスにいた人々だよ。
犬の体は、乾いた土地で残ったよ。 研究者は、犬の歯と骨を調べたよ。 毛の少なさと、歯の少なさが見つかったよ。 体の特徴に関わる遺伝子が、両方に関係したよ。 遺伝子は、体の特徴に関わる情報だよ。
犬の歯と骨には、食べ物の手がかりが残ったよ。 たくさんの犬は、トウモロコシを食べていたよ。 子犬の食べ物は、人の子どもに似ていたよ。 特別なごはんをもらったのかもしれないよ。 残り物やごみだったのかもしれないよ。
犬の扱いは、みんな同じではなかったよ。 人の近くに埋められた犬もいたよ。 捨てた物の中から、骨が出た犬もいたよ。 だから、みんながペットだったとは言えないよ。 研究者は、もっと犬の骨を調べるよ。