🐾 生き物

湖底のDNAがたどった、1000年の自然と人のくらし

約3分で読めます Tiny Why編集部 · 文: 特派員 キュリオ

ことば
sedaDNA

湖底の泥などに残った、周りの生き物のDNAの断片。

人新世

人の活動が地球の環境を大きく変えた時代という提案。

捕獲濃縮

探したいDNAを先に選び、調べやすく集める方法。

何が起きたか

カナダ・オンタリオ州のクロフォード湖で、国際研究チームが湖底の泥に残るDNAを調べ、約1000年にわたる生態系と人の活動の変化を復元しました。研究結果は学術誌Molecular Ecologyに掲載されました。調べたのは植物、動物、藻類、細菌、菌類です。一つの生き物だけでなく、湖をめぐる複数の生き物を同じ時間軸で追った点が特徴です。

泥が記録を残せた背景

クロフォード湖は、水の上層と湖底が混ざりにくい湖です。そのため、沈んだ泥が層になって残りやすく、層ごとに年代を推定できます。木の年輪のように、深さの違う泥から別々の時代を読み取れるのです。研究者が調べた環境由来のDNA断片は、堆積物古代DNA、sedaDNAと呼ばれます。

この湖は、人の活動が地球を大きく変えた時代という「人新世」の候補地としても注目されました。ただし、人新世の提案は地質時代として採用されず、議論は続いています。湖底には化石燃料、プラスチック、人工肥料、酸性雨、プルトニウムなどの痕跡も残っており、長い環境変化を調べる場所として重要でした。

一千年の変化

農業が広がる前の時代から、1200~1500年代の先住民による農業まで、DNAの記録は変化を示しました。研究では、トウモロコシとヒマワリのDNAが湖底から初めて検出されました。トウモロコシ、豆、カボチャを組み合わせ、ヒマワリも加える農法が行われていたことを裏付けます。

農業の時期には、カナダガンのDNAも増えました。カナダガンは畑で食べ、湖で休んだと考えられます。ふんが養分や作物の断片を湖に運び、その結果、藻が増える現象が何度も起きた可能性があります。こうした藻の増加が、人々がその場所を離れたことに関係した可能性もあります。

1500年代に人々が離れた後、湖の周りには再び松が増え、ウサギ、シカ、ビーバー、アビなどの記録が現れました。反対に、トウモロコシのDNAは見えなくなりました。1800年代初めには牛のDNAが見つかり、その後は伐採、木材加工、農業、工業化の影響が上の層に残りました。

なぜ重要か

花粉や化石を使った従来の研究は、植物や動物の一部を別々に追うことが多くありました。sedaDNAなら、同じ泥の層から植物、動物、藻類、細菌、菌類を同時に調べられます。牛のDNAのように、従来の記録では見えにくかった存在も補える可能性があります。

確認できたこと

研究者は、背景にある大量のDNAから目的の断片を選ぶため、RNAの断片を使いました。狙った種のDNAと結びつけ、磁気ビーズで回収する方法です。この捕獲濃縮によって、調べたい植物や動物を効率よく探しました。研究は過去の花粉や化石の記録を一部確認しながら、新しい生態系のつながりも示しました。

まだ分からないことと次の一歩

周辺の村で豆やカボチャが使われていた証拠はあるのに、湖底のsedaDNAでは見つかりませんでした。カナダガンがトウモロコシやヒマワリを好んだためか、DNAを探す道具が合わなかったためかは分かっていません。今回の道具は、より古い時代を調べる目的で作られたものです。研究チームは、東部森林地帯の植物に合う探査セットを作り、見落としを減らそうとしています。

この研究が示すのは、人が自然を一度に変えたという単純な話ではありません。農業、鳥、藻、森林、工業化が、時代ごとに重なりながら湖の記録を変えてきたのです。

出典:Molecular Ecology掲載論文

🐾 生き物

湖底のDNAが見せた、1000年の自然と人のくらし

📰 しっかり版: 湖底のDNAがたどった、1000年の自然と人のくらし

カナダのクロフォード湖で、泥の中のDNAから昔の生き物と人の活動が分かりました。

約1分で読めます Tiny Why編集部 · 文: 特派員 キュリオ

ことば
クロフォード湖

カナダにある、水と湖底が混ざりにくい湖。

sedaDNA

湖底の泥に残った、生き物のDNAの断片。

💡 ようするに

  • 湖底の泥から、約1000年ぶんのDNAを調べた。
  • 農業や工業で、生き物の組み合わせが変わった。
  • 見つからないDNAがある理由は、まだ不明だ。

泥が残す時間

クロフォード湖はカナダにあります。水と湖底が混ざりにくい湖です。そのため、泥が層になって残ります。上の層は新しく、下の層は古いものです。研究者は深さの違う泥を調べました。

泥から見つかるDNAを、sedaDNAと呼びます。これは、湖の周りの生き物が残したDNAの断片です。植物だけでなく、動物、藻、細菌、菌類の手がかりも見つかりました。

人のくらしで変わった湖

1200~1500年代には、先住民の人々が近くで農業をしていました。トウモロコシとヒマワリのDNAが見つかり、その活動が確かめられました。

農業の時期には、カナダガンのDNAも増えました。鳥は畑で食べ、湖で休んだと考えられます。鳥のふんが養分を湖へ運び、藻が増えた可能性があります。藻の増加は、人々がその場所を離れたことに関係したかもしれません。

その後、松、ウサギ、シカ、ビーバーなどの記録が増えました。1800年代初めには、牛のDNAも見つかりました。さらに後の層には、伐採、農業、工業化の影響が残っています。

まだ調べること

豆とカボチャは、ほかの研究では使われていた証拠があります。しかし、湖底のsedaDNAでは見つかりませんでした。探す道具が合わなかった可能性があります。見つからないことは、そこになかった証拠とは限りません。研究者は、地域に合った新しい道具を作ろうとしています。

🐾 生き物

湖のどろは、むかしのことを知っている

📰 しっかり版: 湖底のDNAがたどった、1000年の自然と人のくらし

小さなDNAのしるしを読むと、人と生きもののくらしが見えてきました。

約1分で読めます Tiny Why編集部 · 文: 特派員 キュリオ

ことば
クロフォード湖

カナダにある湖の名前。

DNA

生き物が残す、小さなしるし。

クロフォード湖は、カナダにある湖です。

湖の底には、どろが少しずつたまります。

どろの中には、DNAといういきもののしるしが残ります。

研究チームは、約1000年ぶんを調べました。

むかし、人びとはトウモロコシとヒマワリを育てました。

カナダガンも、畑や湖へ来ました。

鳥のふんが、湖に養分を運びました。

すると、湖で藻が増えたかもしれません。

そのあと、人びとがその場所を離れた時期がありました。

松やウサギ、シカのしるしが増えました。

もっと後には、牛のしるしも見つかりました。

でも、豆とカボチャのしるしは見つかりませんでした。

本当に無かったとは、まだ言えません。

探す道具が見つけられなかったかもしれないからです。

出典・参考