人が「いるだけ」で動物の居場所が変わる? 4,581個体の追跡が示したこと
環境ニッチ(かんきょうニッチ)
動物がどんな生息地や資源を使って暮らすかという範囲。
匿名化(とくめいか)
個人を特定できない形にすること。
何が起きたか
道路や街、農地を作ると、野生動物の住む場所は変わる。今回の研究は、そこに「人が実際にいるか」という別の力を加えて調べた。
研究チームは、米国本土の37種、4,581個体の哺乳類と鳥類を調べた。2019年と2020年の対応する時期のGPS記録を、週ごとに分析した。さらに、匿名化した携帯電話の位置情報を重ねた。
土地の変化と、人の在場は別もの
道路や都市化は、長く残る土地の変化を表す。一方、携帯電話のデータは、その週に人がどれほど近くにいたかを示す。新型コロナの外出制限で人の動きが大きく変わった時期は、この二つを分けて見る貴重な機会になった。土地がすぐには変わらないまま、人の動きだけが変わったからだ。
見えたのは、一つの共通ルールではない
人の存在と土地の改変の両方から影響を受けた種は57%だった。人の存在で、使う地理的な範囲か「環境ニッチ」、つまり動物が使う生息地や資源の組み合わせが変わった種は、哺乳類で67%、鳥類で68%に及んだ。
両方の影響を合わせると、哺乳類の約67%、鳥類の約41%は、使う生息地の範囲を小さくする方向に反応した。人の存在への敏感さは、都市より国立公園のような開発の少ない場所で強かった。
ただし、反応は種ごとに大きく違った。オオカミは、人がいると使う範囲を広げた。人との長い緊張した歴史や、人から離れて広がる動きが関係した可能性がある。オジロジカは、土地が変わると環境ニッチを広げたが、人が増えると狭めた。サンドヒルクレーンは逆の反応を示した。
なぜ重要か
これまでの保全計画は、道路や建物、農地など、地図に残る土地の変化を中心に考えがちだった。しかし同じ森でも、人が来る時間や人数で動物の使い方は変わりうる。人の動きと土地の形を重ねれば、種ごとに、いつ、どこで距離を置くべきかを考えやすくなる。
まだ分からないこと
動物が使う範囲や資源を変えたことは、それだけで「うまく適応した」とも「苦しんでいる」とも言えない。今回の研究は空間の使い方を示したが、その変化が生存率や死亡リスクをどう変えるかまでは調べていない。また、対象は米国の37種であり、すべての野生動物に同じ結果が当てはまるわけではない。
次に見る点
研究チームは今後、行動を変えた個体ほど死ぬ確率が高いのか、低いのかを調べる。人がいることを一つの大きな影響としてまとめず、種と場所と時間の組み合わせで考えられるかが、野生動物との共存を左右しそうだ。
動物は、道や町だけでなく「人」にも反応する
📰 しっかり版: 人が「いるだけ」で動物の居場所が変わる? 4,581個体の追跡が示したこと
4,581個体を調べると、人が近くにいるだけで使う場所が変わる種がありました。
環境ニッチ(かんきょうニッチ)
動物が使う場所や資源の組み合わせ。
匿名化(とくめいか)
個人の名前などを分からなくすること。
GPS(ジーピーエス)
動物などの位置を記録するしくみ。
💡 ようするに
- 動物は、道や町だけでなく、人の近さにも反応します。
- 4,581個体を調べると、使う場所が変わる種がありました。
- 反応は動物ごとに違うので、保全も分けて考えます。
道路や町は、動物の使う場所を変えます。 でも、人が近くにいることも影響します。
科学者は、米国本土の37種類を調べました。 動物は、4,581個体です。 2019年と2020年の同じ時期を比べました。 動物のGPS記録と、匿名化した携帯電話の位置を重ねました。
新型コロナの外出制限で、人の動きが変わったからです。 道路や町は、短い間では大きく変わりません。 そのため、土地の変化と人の動きを分けて見やすくなりました。
人の存在と土地の改変の両方に反応した種は57%でした。 人の存在で、使う範囲が変わった種もいました。 哺乳類では67%、鳥類では68%です。
環境ニッチとは、動物が使う場所や資源の組み合わせです。 両方の影響で、生息地を狭めた種もいました。 哺乳類は約67%、鳥類は約41%でした。
開発の少ない国立公園では、人への反応が強い傾向も見えました。 ただし、反応は一つではありません。 オオカミは、使う場所を広げました。 オジロジカとサンドヒルクレーンも、違う動きを見せました。
だから、すべての動物に同じ保全方法は使えません。 ただし、場所の変化がよいか悪いかは、まだ不明です。 次は、生き残りやすさとの関係を調べます。
人が近くにいると、動物が使う場所が変わる
📰 しっかり版: 人が「いるだけ」で動物の居場所が変わる? 4,581個体の追跡が示したこと
動物は、道や町だけでなく、近くにいる人にも反応します。
場所記録器(ばしょきろくき)
動物がどこへ行ったかを記録する小さな道具。
科学者は、野生の動物をたくさん見ました。 動物には、小さな場所記録器をつけました。 それで、どこへ行ったか分かります。
人の携帯電話の場所も調べました。 名前は消してあります。 それで、どこに人がいるか分かります。
道路や町が、動物の使う場所を変えることがあります。 人が近くにいるだけでも、変わることがあります。 使う場所が小さくなる動物もいました。 オオカミは、使う場所を広げました。
オジロジカという鹿もいます。 サンドヒルクレーンという鳥もいます。 この二つも、違う動きを見せました。 動物ごとに、反応が違ったのです。
この変化がよいかは、まだ分かりません。 科学者は、動物が元気に生きられるか調べます。
出典: 研究論文