動物は「自然のプラスチック」を何億年も食べてきたのかもしれない
PHA(ピーエイチエー)
細菌や古細菌が細胞内にためる天然の高分子素材の総称。
古細菌(こさいきん)
細菌とは別の、非常に小さな生きもののグループ。
酵素(こうそ)
体の中で物を変える働きを助けるたんぱく質。
何が起きたか
研究者らは、動物の中に、微生物が作る天然の素材「PHA」を分ける酵素を持つ種が数十あると報告した。PHAはポリヒドロキシアルカン酸の略で、細菌や古細菌が細胞の中にためる、炭素とエネルギーの予備食のような物質だ。人間はこの性質を利用し、分解されやすいバイオプラスチックとしても研究している。
これまでPHAを分けられるのは、主に微生物だと考えられていた。今回の報告は、動物にも似た働きをする酵素が広く見つかることを示した。もし実際に働いているなら、動物は自然界のPHAを食べ物の一部として使ってきた可能性がある。
背景
プラスチックという言葉から、多くの人は工場で作る石油由来の製品を思い浮かべる。しかしPHAは、人間の製品よりずっと古くから自然界にある。細菌や古細菌は、使える炭素やエネルギーを一時的にためるため、PHAを細胞内に作る。
動物が微生物を食べる場面では、PHAも一緒に取り込まれうる。そこでPHAを細かくできる酵素があれば、動物はその中の成分に触れられる。今回注目されたのは、この「できるかもしれない」を、遺伝子に見られる酵素の手がかりから広く探した点にある。
なぜ重要か
この発見は、自然界での物質の流れを見直すきっかけになる。PHAは単に微生物の貯蔵物ではなく、微生物から動物へ渡る資源だったのかもしれない。そうなら、自然の食べ物のつながりを考える時、これまで見落としていた経路が加わる。
また、PHAを使った製品が環境でどう変わるかを考える際にも、微生物だけを見るのでは足りない可能性が出てくる。ただし、この研究は「天然PHA」と、世の中で使われるすべてのプラスチックを同じものとして扱う話ではない。
確認できたこと
報告で確認された中心点は、数十種の動物にPHAを分解しうる酵素が見つかったことだ。PHAを作るのは細菌や古細菌であり、彼らにとっては炭素とエネルギーの蓄えであることも、今回の説明の土台になっている。
まだ分からないこと
遺伝子から酵素らしいものが見つかることと、動物の体内でその酵素がいつ、どれほどPHAを分け、栄養として使うことは同じではない。どの動物で実際に働くのか、どんな場所でPHAを得るのか、進化のいつからこの働きがあったのかは、さらに調べる必要がある。
次に見る点
今後は、候補となった酵素を実験で確かめることが重要になる。動物と微生物の間でPHAがどのように動くのかが分かれば、自然の食物のつながりと、分解されやすい素材の環境でのふるまいを、より丁寧に考えられるようになる。
動物にも「自然のプラスチック」を分ける力?
📰 しっかり版: 動物は「自然のプラスチック」を何億年も食べてきたのかもしれない
細菌がためるPHAを、動物も分けられるかもしれません。
PHA(ピーエイチエー)
細菌などが元気のためにためる自然の素材。
酵素(こうそ)
物を細かくしたり変えたりするたんぱく質。
💡 ようするに
- 細菌はPHAという自然の素材をためます。
- 数十種の動物に、PHAを分ける酵素が見つかりました。
- ただし、本当に栄養にしているかは未確認です。
PHAは、細菌や古細菌が作る素材です。 炭素とエネルギーをためるために使います。 人間はPHAを、分解されやすいプラスチックとしても研究しています。
研究者らは、動物の遺伝子を調べました。 すると、PHAを細かくできそうな酵素が、数十種に見つかりました。 酵素は、物を別の形に変えるたんぱく質です。
これは意外な発見です。 PHAを分ける力は、微生物だけのものだと思われてきました。 動物もこの力を使うなら、微生物を食べる時にPHAも利用しているかもしれません。
細菌の中のPHAは、非常食のようなものです。 動物がそれを分けられれば、微生物から動物へ資源が渡る道があることになります。 自然の食べ物のつながりを、少し広く見直す手がかりになります。
ただし、遺伝子が見つかっただけでは十分ではありません。 その酵素が動物の体で本当に働くのかは、まだ分かりません。 どの動物が、どこで、どれだけPHAを使うのかも調べる必要があります。
大事なのは、これは普通のプラスチックが何でも食べられるという話ではないことです。 調べられているのは、微生物が自然に作るPHAです。
むかしの自然プラスチック
📰 しっかり版: 動物は「自然のプラスチック」を何億年も食べてきたのかもしれない
どうぶつは、ばい菌のためたものを食べたかもしれません。
PHA(ピーエイチエー)
小さな生きものがためる、自然の素材。
細菌(さいきん)
目では見えにくい、とても小さないきもの。
細菌は、とても小さないきものです。 細菌はPHAをためます。 PHAは、元気のためのたくわえです。
PHAは、自然のプラスチックの仲間です。 人もPHAを使おうとしています。
研究する人は、動物を調べました。 PHAを小さくする力の手がかりがありました。 見つかった動物は、数十しゅるいです。
だから動物は、細菌を食べるとき、 PHAも使ったかもしれません。
でも、まだ「かもしれません」です。 体の中で本当に使うかは、これから調べます。