AIが8000万件の星の光を解析、新たな系外惑星候補1万個以上を発見
米プリンストン大学の大学院研究員ジョシュア・ロス氏率いる天文学者チームが、AI(人工知能)を使ってNASAの系外惑星探査衛星TESS(テス)が記録した8000万件を超える星の明るさデータを解析し、新たな系外惑星の候補を1万個以上発見した。一度に報告された新規候補としては史上最大級の規模で、現代の天文学においてAIがいかに欠かせない存在になっているかを示す結果となった。研究成果は論文「The T16 Planet Hunt: 10,000 New Planet Candidates from TESS Cycle 1」としてまとめられ、今週報じられたところによると、天文学専門誌The Astrophysical Journal Supplement Seriesへの掲載が決まっている。研究にはプリンストン大学、MIT、UCLA、チリのラス・カンパナス天文台の研究者らが参加した。
AIが担った膨大な作業
TESSは、惑星が恒星の手前を横切る際に星の明るさがわずかに、そして周期的に暗くなる現象(トランジット)を観測することで惑星を探す宇宙望遠鏡だ。最初の観測サイクルだけで、8300万件を超える明るさの記録(ライトカーブ)が生成された。これは人間が一件ずつ目で確認するにはあまりに膨大な量だった。
そこでロス氏のチームは、2段階のAI処理を構築した。まず、グラフィック処理装置(GPU)上で高速に動作するよう設計された「CETRA」(ケンブリッジ系外惑星トランジット検出アルゴリズム)というアルゴリズムが、すべてのライトカーブをスキャンし、トランジットを示すかすかで周期的な減光パターンを探した。CETRAは、TESSの公式検出システムでは通常扱えないほど暗い星の信号も捉えられるほど感度が高かったという。次に、「ランダムフォレスト」と呼ばれる機械学習の分類器が結果を順位付けして絞り込み、約8000万件のライトカーブを、チームがじっくり確認する価値のある約250万件にまで減らした。
発見された内容
その絞り込んだリストから、研究チームは合計1万1554件のトランジット候補を特定し、そのうち1万91件が新規発見だった(残りはこれまでの観測ですでにカタログ化されていたもの)。今回の成果は比較的見つけやすい天体に偏っており、研究者によれば大部分は恒星のすぐ近くを公転する巨大なガス惑星「ホット・ジュピター」で、これに加えて海王星サイズの天体が100個以上、そして「スーパーアース」候補が11個含まれる。スーパーアースは、居住可能な惑星を探す研究者たちが特に注目する、より小さく岩石質の惑星だ。
パイプライン全体が実際に機能することを確認するため、チームは候補の一つについて地上望遠鏡による追観測を実施した。チリのマゼラン望遠鏡に搭載された分光器「PFS」を使い、星のわずかな重力によるふらつきを測定。その結果、天の川銀河の厚い円盤部に位置する金属量の乏しい珍しい恒星「TIC 183374187」を公転するホット・ジュピターを確認した。
なぜAIが決め手になったのか
ロス氏は、AI導入がどれほどの時間短縮になったかを具体的な数字で示している。5万件の候補をライトカーブ一件ずつ目視で確認する作業には、チームが集中して取り組んで約6週間を要したという。機械学習による絞り込みがなければ、単純計算でその約32倍のライトカーブを手作業で確認する必要があり、同じペースならおよそ192週間、3年半以上かかっていた見込みだという。実際にはAIのおかげで作業量が大幅に圧縮され、少人数のチームが現実的な期間内で、本来なら大勢の人手が要る作業をやり遂げられた。
留意点と今後の展望
強調しておくべきは、「候補」は「確認済みの惑星」とは異なる点だ。トランジットに似た減光は、互いに食を起こす連星など惑星以外の現象でも起こり得る。そのため新たな候補の多くは、追加のトランジット観測や視線速度の測定、直接撮像といった追観測を経なければ、本物の惑星として確認できない。天文学者たちは、今回のAI選別を、時間のかかる確認作業に進むべき有望な対象を絞り込む「一次選抜」と位置づけている。
それでも研究者たちは、この手法が今や選択肢の一つではなく必須になりつつあると指摘する。2026年8月に打ち上げ予定のNASAのローマン宇宙望遠鏡は、単独で約10万個のトランジット候補を検出すると見込まれ、この規模のデータは人手だけでは対応しきれない。ロス氏のチームは今後、畳み込みニューラルネットワークなど追加のAIツールも導入する計画だという。
AIが新たな系外惑星候補を1万個以上発見
プリンストン大学のチームがAIを使い、NASAのTESS望遠鏡が集めた8000万件以上の星の明るさデータを解析。一度に報告された新規候補として史上最大級の発見となった。
💡 ようするに
- AIがNASAのTESS望遠鏡の明るさデータ8000万件以上を解析し、詳しく調べる価値のある約250万件に絞り込んだ
- プリンストン大学のジョシュア・ロス氏のチームが合計1万1554件の惑星候補を確認し、うち1万91件が新発見
- AIの絞り込みのおかげで、3年半以上かかったかもしれない手作業を、大幅に短い時間で終えられたという
惑星の「影」を見つける
TESSは、惑星が恒星の手前を横切るとき星の明るさが少し周期的に暗くなる現象を観測して惑星を探すNASAの宇宙望遠鏡だ。最初の観測だけで8300万件超の明るさの記録が集まった。人が一つずつ確認するには多すぎる量で、ロス氏のチームはAIを活用した。
まず「CETRA」というアルゴリズムが全記録をスキャンし、惑星が横切ったときの減光パターンを探した。次に「ランダムフォレスト」という機械学習の仕組みが結果を絞り込み、約8000万件を約250万件にまで減らした。
見つかったもの
その約250万件から、チームは合計1万1554件の惑星候補を確認し、うち1万91件が新発見だった。大部分は恒星のすぐ近くを回る巨大ガス惑星「ホット・ジュピター」で、海王星サイズの天体が100個以上、「スーパーアース」候補も11個見つかった。手法が機能する証拠として、チームはチリの望遠鏡で新発見の一つを追観測し、実在の惑星であることを確認した。
手作業よりずっと速い
ロス氏によると、5万件を目視確認する作業には約6週間かかった。AIの絞り込みがなければ、同じペースで全体確認に約192週間、3年半以上かかった計算だという。候補はまだ「確認済みの惑星」ではなく追加観測が必要だ。それでも、2026年8月打ち上げ予定のNASAのローマン宇宙望遠鏡が単独で約10万個の候補を見つけると見込まれ、AI選別は惑星探しに欠かせない道具になりつつある。
かしこいコンピューターが新しい星の子を1万個みつけたよ
宇宙の望遠鏡が星の光をたくさん見たよ。かしこいコンピューターが手伝って、新しい惑星の候補を1万個以上みつけたんだ。
なにがあったの?
TESSという望遠鏡が、遠くの星をずっと見ているよ。惑星が星の前をとおると、星の光がちょっとだけ暗くなるんだ。これを「トランジット」というよ。🔭
TESSは星の光の記録を8000万こもとったよ。人が一つずつ見るには多すぎるよね。だから、かしこいコンピューターに手伝ってもらったんだ。コンピューターはぜんぶの記録をすごい速さで見たよ。光がすこし暗くなったものをさがしたんだ。そのあと、よく見るべき記録を250万こまでしぼりこんだよ。
なにがみつかった?
そのあと人がしっかり見たよ。新しい惑星の候補が1万こより多くみつかったんだ。おおくは大きくてガスでできた惑星だよ。岩でできた小さいのもすこしあるみたい。
5万こを人の目で見るのに、6週間もかかったんだって。コンピューターの手伝いがなかったら、3年半もかかったかもしれないよ。とっても長い時間だね。まだ「候補」だから、もういちど確かめる必要があるよ。それでも、こんなにたくさん一気にみつかったのは、すごいことなんだ。